The Gemera’s Tiny Friendly Giant engine

機能について

TFGのFreevalveシステムは、あらゆる条件下においてもバルブの吸排気タイミングを独立して制御できるユニークな機能を有しています。 さらに、走行状況に応じてバルブをどのように作動させるかを的確に判断し、随時空燃比や燃焼状況を最適化することで、燃料消費量を最小限に抑え、クリーンな燃焼により排出ガスを抑えることが可能です。

Freevalveは、エンジンをより高度に制御することを実現し、その結果、性能と環境の両面に対して大きなメリットをもたらすのです。

 

燃料消費量の削減

TFGは、直噴システムと可変カムシャフトを採用した現代の一般的な4気筒2Lエンジンと比べて、燃費を15〜20％低減しています。また気筒を休止することで、さらなる燃費低減まで実現しています。TFGはターボエンジンとしては9.5:1という高圧縮比（静止圧縮）を実現しています。

Freevalveには、スロットルが存在しないためポンピングロスがなく、エンジン効率を向上させます。同時にFreevalveシステムを搭載したTFGがミラーサイクルで燃焼することで、TFGは高効率と高出力を同時に得ることが可能となりました。上記したすべての要素をまとめると、TFGが世界で最もシンプルで強力な市販車用エンジンのひとつであることが理解できるはずです。

 

よりクリーンな排出ガス

カムシャフトを搭載した従来のエンジンでは、冷間始動後の最初の20秒ほどの間に、低温なエンジン内と触媒コンバーター、アイドリング時のストイキ燃焼からの乖離が原因で、エンジンが排出する環境汚染物質のほとんどが排出されます。

現代の触媒コンバーターが非常に優れたものになったことで、触媒とエンジンが暖められた通常走行時においては、排出される排気ガスがほぼクリーンであることを実現していますが、アイドル時の空燃比の悪さ（ストイキ燃焼からの乖離）が改善されることはありません

TFGは、冷間始動時にプリスタート加熱モードの使用と燃焼室内にタンブル流を発生させガソリンを燃焼することで、冷間燃焼を大幅に改善しました、これにより触媒コンバータの発熱も早くなり、従来のカムシャフト付きエンジンと比較して、冷間始動時の排出ガスを約60％低減することで、上記に挙げた3つの問題のうち2つの問題を解決しています。

Freevalveシステムは、現代のエンジンにおける最後の欠点である、冷間始動時に関連した環境汚染物質の放出をアルコール燃料を使用することで排除することに成功しました。アルコール燃料をTFGで燃焼させた場合、排気ガス内に煤塵などの微粒子は発生せず、あらゆる環境下において、TFGは自らが生成するよりも多くの微粒子を周囲の空気から吸入し、燃焼させることができるのです。

またTFGは、アルコール代替燃料を使用することで、実質的にゼロ、またはCO2のマイナス排出を達成することを可能としたのです。

 

アルコール燃料による始動性の向上

アルコール燃料は、オクタン価が高くガソリンに比べて燃料気化によるシリンダー内部の冷却効果が高いため、エンジン性能を最大限に引き出すことが可能です。しかし、寒冷時にはガソリンに比べて気化しにくいという特性を持つため、厳寒期にはガソリンを添加することで問題を解決しています。

Freevalveシステムは、始動時における最初のクランキング及び燃焼サイクルにプリスタート加熱モードを利用することで、冷間始動時の問題を克服しています。このシステムでは始動・暖機運転時にシリンダーを休止させたうえで、燃焼室内への最大のタンブル流発生による燃料気化のために、１つの吸気バルブを低リフトで遅めに開いています。

排気ガス再循環システム（Exhaust Gas Recirculation / EGR）は、エンジン始動による高温燃焼室の状態を利用して次の燃焼サイクルで活性化されます。

さらに、プリスタート加熱モードでは、ピストンを使用して混合気を燃焼させる前に複数回クランキングさせることができます。その結果混合気の温度は、10サイクル（約2秒間隔）で30℃上昇し、始動サイクル時に燃料を追加使用することなく、TFGをどのような気候においても機能させることが可能です。

そして始動時における一連の燃焼サイクル後に、エンジンはミラーサイクルに調整されるのです。

 

コンパクトさ

600bhpの出力と600Nmのトルクと聞けば、多くの人はツインターボのV8エンジンを連想するでしょう。しかし、TFGはそれらエンジンに比べて非常にコンパクトな僅か2L 3気筒エンジンでそれを実現しました。さらにTFGが採用したドライサンプシステムは、負荷が大きく掛かる極限のドライビング時においても完璧なオイルコントロールを可能にしながら、エンジンサイズをさらに縮小することにも役立ちます。

これによりエンジン単体重量を70kg未満に抑えることを実現し、大人４名が快適に過ごせる居住スペースに加え、一般的な機内持ち込み用のラゲッジケースを収納できるトランクスペースまでを生み出すことにも貢献しています。

 

パフォーマンスの向上

燃焼サイクルの非常に高レベルでの完全な制御と信頼性を提供するTFGのFreevalveのようなシステムは、他には存在しません。

なぜなら吸気バルブと排気バルブの双方において、バルブごとに任意の角度でのバルブの開閉設定だけでなく、リフト量についても増減が可能だからです。この柔軟性により、TFGは強大なトルクとパワーを発揮しながら、非常に優れた低燃費と排ガス性能までを手に入れています。

 

特許出願中のシーケンシャルツインターボシステム

Freevalveシステムは、現在特許出願中のシンプルな構造のシーケンシャルツインターボシステムを可能にしました。このシステムは計6つあるシリンダーの排気バルブ（各気筒２個の排気バルブ）に対して、まず1段目のターボを3つの排気バルブに接続し、そして2段目のターボが残りの3つの排気バルブに接続されます。

低回転時や一部の高負荷時には、シリンダーごとに1つの排気バルブを開けるだけで、すべての排気ガスが1つのターボに押し出され、そのタービンへの流量が２個開閉時の倍になります。タービンが十分な回転数に達すると2つ目の排気バルブが開かれ、2つ目のタービンが始動します。 その結果、2.0L 3気筒エンジンは、1700rpmの低回転域から400Nmのトルクを発揮し、最大トルクは600Nmに達します。

TFGは、このサイズのエンジンとしてはかつてない強大なトルクを達成し、排気量あたりで最もパワフルなエンジンとなります。この事実こそが、他の市販3気筒エンジンよりもTGFが何年も先に進んだ存在であることを、如実に証明しているのです。

人工知能（AI）によるエンジンマネージメント

内燃機関である2.0L 3気筒エンジンには多く考慮すべき点があります。その中には、最小の燃料消費量、排出ガス、エンジンサイズ、コストにおける最大にして最良のパフォーマンス、さらには効率や信頼性、安全性までを達成するための複雑なファクターがあります。そこにFreevalveシステムを加えることで、エンジンとしての新たなステージに到達することが可能となりました。

Freevalveシステムを構築するにあたっても、より多くの問題点を考慮し、調整する必要がありました。その中には、NOx、CO2排出量、HC/NMOG（ノンメタンHC排出ガス規制）、燃料消費量、パワーやトルクなどが含まれ、その中で解決すべき優先順位を競い合っています。

さらには、燃料の種類、潤滑、温度、部品の消耗、Freevalveそのものの作動タイミングなど、実に多様な要素が複合的に絡み合っているのです。

上記の様々で複雑なファクターに対して、人間の力だけで最適な結果を導き出すことが事実上不可能であることが理解できるでしょう。この事実を考慮し、ケーニグセグは先進の人工知能（AI）を活用することを決断し 、世界的なAI企業であるSpark Cognition社との提携を選択することで、Freevalve搭載のTFGの開発に活路を見出したのです。

魅力的なエンジン音

TFGの2.0L 3気筒エンジンは、Akrapovic製チタンカスタムエキゾーストシステムを装着し、ラグのないスムーズな排気レスポンスを実現しています。

TFGは確かに排気量の小さいエンジンかもしれませんが、ビッグボア、ショートストロークを持つことで、迫力あるサウンドが実現されています。それはFreevalve特有のバルブ開閉によるオープンなサウンドと相まって、ただ音量が大きく迫力あるだけでなく、どこか透き通った爽快なサウンドを奏でるのです。 なお、排気音はFreevalveシステムで任意にバルブを開放することで、走行するシチュエーションに合わせた最適な音量に調整することも可能です。