THE TINY FRIENDLY GIANT ENGINE
ケーニグセグ・ジェメーラのエンジンは小型です。しかしパワーやトルク、サウンドの面に目を向けると、一変してそれは非常に大きなものになります。それでいて、排出ガスと消費量の面では小さい−−要するに、これはケーニグセグとその姉妹会社であるFreevalveが開発したエンジンのとてもユニークな、そして価値ある矛盾なのです。そのため、「Tiny Friendly Giant=小さいけれど優しくて力持ちの巨人」(略してTFG)という印象的なネーミングがこのエンジンには与えられました。2ℓの3気筒エンジンであるTFGは、その卓越した性能、燃料消費量の削減、排出ガスの低減など、急速に進化する将来の環境性能を見据えたものであり、第二世代のCO2ニュートラルな再生可能燃料での走行が可能であることも忘れてはなりません。
KOENIGSEGG DIRECT DRIVE

Koenigsegg Direct Drive (KDDI)
従来のハイブリッドカーと言えば、バッテリーを含めた重量の問題、システム構築の複雑さ、それらの要因に伴うコストやパッケージングの面で何かしらの妥協を強いられていました。 しかし、ジェメーラは、兄弟車であるレゲーラとともに、まったく新たな価値観を持ったハイブリッドカーとして開発されました。
最も大きな特長は、KDDと呼ばれるシングルギアのダイレクトドライブというトランスミッション方式を採用したことで、他のどのハイブリッドソリューションよりも軽量かつ高効率、かつ停止状態から最高速度までの究極のレスポンスを実現している点です。 たとえば、高速道路での走行中にKDDは従来のトランスミッションやCVTと比較して、ドライブトレイン全般での出力損失を3〜5%削減しています。
特に1つのギアで超高速域のスピードにまで加速する場合、トルクが果たす役割は非常に重要です。ジェメーラでは、トルク変換型のHydraCoupがその重要な役割を確実にサポートします。HydraCoupは、TFGとフロント側の電動モーターが発生する1100Nmもの複合トルクを、3000rpmの回転域までほぼ2倍のトルクに変換させます。これこそが、ジェメーラが静止状態から3500Nmものトルクを発揮し、シングルギアながらも0→400km/hまで淀みなく加速できる理由なのです。
全輪駆動、全輪トルクベクタリング、全輪ステアリング
左右の駆動輪で独立したリヤ側の電動モーターは、トルクベクタリング(左右後輪へのトルク配分)とリバース(後退)を可能にします。フロントアクスルは、各出力軸に湿式クラッチパックを備えたオープンディファレンシャルを備えることで、左右前輪へのトルクベクタリングも可能にしています。 つまり、ジェメーラは全輪駆動、全輪トルクベクタリング、全輪ステアリングを備えており、さらには独立した後輪ステアリングも装備しているため、最大限のトラクションと安全性を実現し、エキサイティングなドライビング体験を提供するのです。しかも、ジェメーラには走行状況に合わせたアクティブな車高調整機能までが装備されています。
さらに、11,000Nmを超える全輪トルクが、トルクベクタリングによって静止時から地面に対して強大な力を伝達するためには、専用設計されたミシュラン・パイロット・スポーツ4Sタイヤが非常に重要な役割を果たしています。
複合出力 1700bhp
3基のモーターからの出力は、まず左右後輪の1基ずつでそれぞれ500bhpと1000Nmを発生。クランクシャフトに直結した残る1基の電動モーターは400bhpと500Nmを発生させます。これにTFGの600bhpと600Nmのトルクが加わることで、ジェメーラの複合出力は1700bhp(1.27MW)という、まさに圧倒的な数値を達成しているのです。
800Vのバッテリーパック
先行して開発されたレゲーラからヒントを得て開発されたジェメーラの800V、15kWhのバッテリーは、最大で900kWの放電と200kWの再充電を可能にします。各セルは電圧、充電状態、寿命、温度をそれぞれ注意深くモニターし、効率性や安全性、そして高速走行時での安定性を保つために強固なカーボンファイバー製のケースに収められています。
バッテリーシステムは、車内で最も保護された場所、すなわち、フロントシート下にあるカーボン・アラミド製のシャシートンネルの内側に設置されています。
範囲
ジェメーラの航続距離はEVモードのみで最大50km、ハイブリッドモードではさらに950kmを連続で走行可能となり、合計で1000kmの航続距離を実現しています。これによりジェメーラは、ファミリー向けの“アウトバーン・ロケットシップ”とも呼べる、真の大陸横断ツアラーとしての真髄を発揮するのです。
THE GEMERA'S COMBINED POWER CURVE OF THE TFG AND KDD
All data is provisional.