From passion to power
スウェーデンは、世界に通用するエンジニアが非常に多い国でもあり、この国の技術開発を牽引してきたのは戦闘機の開発から始まりました。
スウェーデンの自動車産業は「品質」と「安全性」この2つのエレメントが代名詞とされ、トラック、バス、乗用車、世界的に有名なラリーカーの製造にもこのコンセプトをベースに開発されています。
1994年、若きクリスチャンが念願の自動車メーカーを創立した事は、これまでの自動車産業の常識を大きく変える事になったのです。
この時代に於いてスーパーカーは非現実な存在であったにも関わらず、彼の揺るぎない使命感と情熱が、これまでに存在しなかった完璧なスーパーカーの誕生を実現させたのです。
その後、スポーツカー産業を取り巻く不況も収束へと向かい、世間の注目が世界経済復興へと目が向けられる中、クリスチャンは彼の夢を叶えることだけに没頭する事で実現への一歩を踏み出す事となったのです。
The start-up
クリスチャンが夢に描くスーパーカーを完成させる為には、模造ではなく彼自身の想いと心の声に忠実に従う事を決意します。
その夢が限りなく不可能に近いこと、これまでに多くの挑戦者が失敗に終わっていること、彼自身すべてを理解した上での決断だったのです。
これまで存在しえなかった完璧なスーパーカーを誕生させることが、彼の使命であり妥協や限界、失敗を恐れると言った言葉は彼の中にはなかったのです。
1994年、クリスチャンがわずか22歳の時にケーニグセグ社を立ち上げます。史上最高峰のスポーツカーを創り出す為には、技術的に困難が想定された場合でも常に最善策を追及し挑むことで数々の困難を突破してきたのです。
現在のケーニグセグ社には最先端の機器を備えたR&D部門がありますが、当時、一台目のプロトタイプを製作するに当りクリスチャンは自身の信念、想像力、決断力のみを信じる以外になかったのです。その為、彼自身によって技術的な車両レイアウトを作成しわずかな資金で夢を追い求める数少ない仲間達と共に車両をハンドメイドしていました。
1996年プロジェクトが始動してからわずか2年後には、プロトタイプ『ケーニグセグCC』が完成したのです。ケーニグセグCCには、デタッチャブルルーフと当時最先端のカーボンボディが特徴で、その際立った存在感から注目を集めました。当時、非常に限られた設備と資金状況にも関わらず、直立したウィッシュボーンや他の多くのアイテムはクリスチャンとチームによって製作されたものでした。『ケーニグセグCC』はオンリーワンの車両として多くの注目を集め25年経った今では、ベスト記録を生み出すハイパーカーメーカーへと大きく変貌を遂げたのです。
Stealing the show
クリスチャンは、『ケーニグセグCC』に対する世間の評価を知るため、1997年のカンヌ映画祭に車両を出展します。その結果、圧倒的な評価を受け、世界に向けて初のお披露目は見事成功を収めたのです。
From then to now
クリスチャンのユニークなビジョン戦略の下、『ケーニグセグCC』の誕生と共にケーニグセグ社は急速に発展を遂げて行くのでした。設立から僅かな年数でクリスチャン率いるケーニグセグチームは、スーパーカーメーカーとしての頂点へ挑み、その分野において革新的リーダーの存在までに発展していきました。
2002年には、ヨーロッパが実施した衝突実験を経て、CC8Sモデルの生産を開始しました。新興メーカーとして素晴らしいスタートを切った企業として、その名が世に知れ渡ることになります。CC8Sはこれまで最もパワフルなスーパーカーとしてギネス登録されトップギアのジェレミー・クラークソンは、彼が選ぶベストカーとしてCC8Sを紹介しています。この事実は情熱を持った人間であれば確立されていたスーパーカーの風習や常識さえを覆し十分対抗し得ることが証明されたのです。
2005年には、9年間破られることがなかったマクラーレンF1の記録を抜き、ケーニグセグCCRは、世界最速の量産車としてギネス登録されたのです。また2006年にはケーニグセグCCXは2年ぶりにタイム更新しトップギアラップレコードを獲得しました。
ケーニグセグCCXRは世界初のグリーンハイパーカーでE85やE100バイオ燃料を使用しながらも通常のガソリンと同様の走りが可能になるよう設計されています。
この試みはこれまでのスポーツカーに皆無であった環境問題への配慮を取り入れたものであり世界に衝撃を与えたことは言うまでもありません。
その後もケーニグセグ社は記録を更新し続け、現在は70名もの社員やコンサルタントを抱える会社にまで成長しました。誰もがクリスチャンの直接の指導の下で働き、自動車のスペシャリストと共に、可能な限り最高の水準に近づけるよう努力を重ねています。

Philosophy
ケーニグセグの哲学は、車の性能を向上させることに焦点が当てられています。
全てのケーニグセグはその性能を向上させるため、会社が目標とする哲学に沿った完成形を目指し、細部まで拘った設計がされています。
使用する原材料、従業員、施設、ソフトウェア、ツール、システム、メンテナンスを決める過程にもこの哲学は反映されており、最高の車を造りだすため無駄なものを一切省くことに成功しています。ケーニグセグはパワーやスピードだけではなく、品質管理を徹底することで確かな安全性を保障し、顧客満足度の高い製品に仕上げられています。

Every detail has a purpose
400km/h走行時のような過酷な状況下であっても、その耐久性を維持できるように六層塗装が採用されています。その美しいフォルムでさえ、見た目だけを重視した訳ではなくエンジニアリングから誕生したデザインなのです。例えば開発期間中、私たちは強風が吹くトンネルの中でテスト走行を行いました。その間も、顧客が求める性能と快適性を兼ね備えたエクステリアデザインは、開発者たちの目にも美しく映ります。
ケーニグセグはエアロダイナミクスの追究により、綿密に計算され構成された車両と言えるのです。
Safety is paramount
ケーニグセグと同じくらいパワフルな車を造る上で、顧客とその周囲の安全に気を配ることことは必要不可欠です。ドライバーが自信を持って運転することが出来るよう、常に予測を可能にし、レスポンスを向上させるため、ステアリングは軽量でバランス良く造られています。
もちろんこの配慮はステアリングだけでなく車両全体に施されており、
厳格なマネージメントの下で実施された18種類にも及ぶ衝突実験を経て、世界基準の安全性を証明した近代的な安全装置が全車に装備されています。
言うまでもなく、自分たちが造りだした車両を何度もクラッシュさせることは胸を締め付けられるような想いでしたが、我々の哲学に従うのであれば、必ずしも通らねばならない道だったのです。


Hand crafted
ケーニグセグの内装に使用されているプリプレグ炭素繊維は、細心の注意を払い、全てが手作業で製作されています。
ケーニグセグの哲学を念頭に、最高級の素材のみを使用し熟練の職人によって手作業で仕上げられています。
その創造的なプロセスに顧客が直接及ぼす影響力を考えると、結局のところ、ケー二グセグはお客様の要望に合わせて製作された最高水準のユニークな芸術品と言えるでしょう。
The spirit of performance
気が遠くなるような細部に渡るケアを怠らず、究極の性能を持つよう設計され製作された車両のことを、我々はケーニグセグ哲学の結晶と呼びます。ケーニグセグ社は、お客様からの期待に応えるべく、世界最高水準と究極の性能を目指し常に努力を怠りません。
これは、今日のケーニグセグを生み出した私たちの伝統であり責任なのです。


The home of Koenigsegg
ケーニグセグ社は2003年に、現在本社を置くスウェーデン、エンゲルホルムに移りました。もともと、スウェーデン空軍基地であったそのビルは、一時はJAS39グリペン戦闘機の帰着所として使用されていました。
現在、改装が行われているこの施設は、ハイテクなハイパーカーを製造するための完成された基地として使用されています。施設内には、複合ワークショップ、エンジン開発及び試験場、組み立てホール、塗装工場、研究開発施設があり、他にも車両や部品を保管するために十分なスペースが確保されています。
スウェーデン南部にある最先端のこの施設にて、ケーニグセグ社は毎年多数のハイパーカーを造りだしているのです。
Fighter jet spirit
2003年にケーニグセグの元敷地内で火事が起き、同社は本社を現在の場所へと移動させました。4000立方メートルの広さを持つ施設はスウェーデン空軍が撤退する前、軍の第一戦隊戦闘機の帰着所として使用されていました。
建物に沿って伸びる1.7kmに及ぶ滑走路は、高速でのテスト走行に最適なレイアウトになっており、路幅が50mに及ぶため形を変えてレーストラックとして使用することも可能です。また、ケーニグセグ社の多くの顧客はプライベートジェットを所有しており、工場のすぐそばにある滑走路に離着陸することもあります。
そのため、正門前にはヘリコプターで移動する人のためヘリポートも完備されています。


One of a kind
全てのケーニグセグ車にはプレミアム価格がつけられ、それぞれが可能な限り最高の基準に近づけるよう、マイスター達によって丹念に造られています。
ケーニグセグ社は、自社のハイテク施設にて、複雑な金属や炭素繊維の加工と生産をハンドメイドにて行っています。また、独自のサプライヤーやパートナーのネットワークがあり、主にスウェーデンで活躍する彼らを、スペシャリストとしてヘッドハンティングすることもあります。
これは、中小企業のサプライヤーが信じられないほど高品質な製品を少量生産しており、その功績をたたえ、才能を認める形となったのです。ケーニグセグ社の製造と組立は、非常に労力を必要し、それぞれの車両には職人の手作業で造られた300を超える炭素繊維部品が使用されています。言うまでもなく、その材料費は例外無く驚くほど高額です。
Innovating the future
クリスチャンとKoenigsegg Automotive ABは、ここ何年かの間にいくつかの新技術を取り入れ特許を取得しています。ロケット触媒コンバータもその一例で、他にも過給機反応システム、可変式ターボシステム等があります。他にも、社内では炭素繊維を使用したユニークな技術が発案されており、これにより、車両を軽量化し剛性を高めると同時に安全性を確保することに成功しています。
ケーニグセグの哲学は、妥協を認めず不可能を可能にすることを謳っており、実際にケーニグセグ社の従業員は、様々な技術革新を日々行っています。
このオープンマインドな姿勢はまさに、今日のケーニグセグを象徴しているのです。